INTERVIEW ジャンプラ読切沼のわたしたち

「ゴールはラブでも、紆余曲折はギャグ寄りで」
細部まで“読みこむ”声優・花澤香菜が惹かれる
珠玉のジャンプラ読切

今年で誕生から10周年を迎える「少年ジャンプ+」。そんなアニバーサリーイヤーを祝して、特別インタビュー企画「ジャンプラ読切沼のわたしたち」が絶賛開催中です。

ジャンプラ読切の魅力にどっぷりはまって抜け出せない、7名の漫画好きの著名人にオススメのジャンプラ読切をセレクトしてもらい、その魅力を存分に語っていただく本企画。最終回は、数多くのアニメ作品で声優を務め、今年デビュー20周年を迎えた花澤香菜さんが登場します。

アニメのキャラクターに声と息吹を与える花澤さんの、原作漫画との向き合い方を知れば、私たちの漫画の読み方も深まること間違いなし! 第一線で活躍する声優ならではの視点で、読切作品の魅力も語っていただきました。

声優・アーティスト
花澤香菜
大沢事務所所属。声優のほか、ラジオパーソナリティやナレーション、アーティストとしての音楽活動など幅広く活躍中。主な出演作品は『鬼減の刃』甘露寺蜜璃役、『青の祓魔師』杜山しえみ役、「物語」シリーズ千石撫子役、『PSYCHO-PASS サイコパス』常守朱役、『ザ・ファブル』清水岬役など。

手塚部長に惹かれ、ギャグ漫画に学ぶ

まずは漫画の原体験について伺ってもいいですか?

最初にハマった漫画は『ちびまる子ちゃん』(さくらももこ、集英社)かもしれません。小学生の頃に通っていた塾にたくさん置いてあって。借りて読んだら面白くて、自分でも買いました。小学生でも笑えちゃうところが好きだったなぁ。自分のクラスメイトにも「こんな子いるよね」って共感したり、まる子ちゃんのちょっとひねくれた感じに親近感が湧いたり。

小学生の頃の花澤さんはひねくれていた......?

ひねくれてたというか、頭の中でいろいろ考えてる感じでした(笑)。なんだろうなぁ。いろいろ妄想する子どもだったので、そういうところがまるちゃんに似ててマッチしたのかも。子どもって意外といろんなこと考えてるじゃないですか。だけどうまく言葉にできない。そのもやもやした感情を言語化してくれる漫画でした。

他にはどんな漫画を読んでましたか?

お小遣いをもらえるようになってからは、『りぼん』(集英社)を自分のお金で買うようになりました。水沢めぐみ先生の漫画が大好きで、なかでも『姫ちゃんのリボン』(集英社)と『ないしょのプリンセス』(集英社)は特に印象に残っています。『ご近所物語』(矢沢あい、集英社)も好きでしたね。

少年漫画はあまり通らず?

いえ、それこそ『週刊少年ジャンプ』の作品は単行本で読んでいました。私が小中学生の頃って、平日夕方の6〜7時台に、ジャンプ作品のアニメが流れてて、友達もみんな見てたんです。「テニプリ」(『テニスの王子様』、許斐剛、集英社)とか『シャーマンキング』(武井宏之、講談社)、『ヒカルの碁』(ほったゆみ・小畑健、集英社)とか、私が大好きな漫画もいっぱいアニメ化されてました。友達とアニメイトに行って、推しキャラのカードを集めたりもして。生徒手帳には、手塚(国光)部長のボイス入りカードを入れてました(笑)。

それにしても、いろいろな漫画に親しんでいたんですね。

そうですね。シュール系のお笑い漫画も好きで、『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』(増田こうすけ、集英社)や『魁!!クロマティ高校』(野中英次、講談社)、『ピューと吹く!ジャガー』(うすた京介、集英社)を読みながら、ぎゅふぎゅふ笑ってました。

ぎゅふぎゅふ(笑)。

私、子役をしていた小学生のとき、『あっぱれさんま大先生』(フジテレビのバラエティ番組)に出てた時期があるんです。そこで2週間に1回、自分でエピソードをまとめて提出しなきゃいけなくて。

そんな大変な宿題があったんですね!

そうなんです! トークテーマに合わせてそのエピソードをプレゼンして、番組で使われるかどうか、審査を受けてました。自分なりに面白く話すために、当時読んでいたギャグ漫画をちょっと参考にネタ帳をつけてたりして。

その下地があるから、16年続く長寿ラジオ番組『明治 presents 花澤香菜のひとりでできるかな?』(文化放送)でも、軽快にトークができているんですね。

それはどうだろう!(笑)。でもたしかに日々のエピソードを貯めていく習慣が身についたのは、あのとき鍛えられたおかげですね。

声優として漫画を“読みこむ”

花澤さんの人生観に影響を与えた漫画はありますか?

浅野いにお先生の『ソラニン』(小学館)ですね。高校生までは推しのキャラとかストーリーの面白さに惹かれて漫画を読んでいたんですけど、大学生で読んだ『ソラニン』には「これは他人ごとじゃない」って思わされました。社会人になったばかりで人生がうまくいかない若者が大人になっていく話で、身につまされたんですよね。

子役として早くからお仕事を始め、大学時代には声優としても仕事をされていました。それでも当時の花澤さんは不安だったんですか?

不安でした。「このまま声優のお仕事をちゃんとできるのかな」と悩んでたし、自分の未熟な部分にもいっぱい気づかされて。『ソラニン』では、主人公・(井上)芽衣子の恋人・種田(成男)がいきなり死んじゃうんです。大事な人や自分自身が突然いなくなる、そんなことが誰にでも起こりうると痛感しました。本当に悔いのないように生きなきゃと思ったし、会いたい人には会っておかなきゃなって気づかせてくれた漫画です。

大学卒業後は、漫画とはどう付き合っていますか。

お仕事で役作りのために読むことが多いですね。

この仕事量からすると、おそらくものすごい量を読まれてますよね。

そうなんです......。今も読むべき作品が4〜5作品溜まってます(笑)。連載作品だと、どの巻に自分の役のセリフが出てくるかわからないので大変なんですよね。

花澤さんはよく原作漫画があるアニメ作品に出演する際、「原作を読みこむ」と言っていますが、どういうことでしょうか?

改めて聞かれると説明するのは難しいですね、うーん......。例えば、主人公を演じるなら、モノローグに頼ったりして、感情の流れも理解しやすいんです。でも、それ以外のキャラクターは余白が多いので、「なんでこんなこと言うんだろう」とか「この行動には、どういう背景があるんだろう」って、キャラクターのバックグラウンドを想像しながら読まなきゃいけない。漫画家の先生方は、ひとつひとつのセリフや描写をすごく繊細に描かれているので、そのニュアンスをちゃんと拾い上げられるように読んでます。

キャラクターに声を当てる難しさ

原作と台本を読みこんだうえで、キャラクターにご自身の体験を重ねて演じるそうですね。同じ体験をしたことがない場合はどのようにされているのでしょうか?

例えば、蜜璃ちゃん(『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴、集英社)の甘露寺蜜璃)のように自分が体験したことのない状況にいるキャラクターを演じるときは、自分の体験や感情のストックから近いものを探して当てはめています。私は鬼と戦ったことはないけど、すんごいムカつくこととか、 すんごい悲しいことを思い出して演じていますね。だから、あらゆる感情を忘れずにとっておくことが大事なんです。

どんな感情も大事。

はい。すごく理不尽なことがあっても、「お前のおかげで、この感情がストックできた!」って(笑)。経験したことは、何にも無駄にはならないです。

甘露寺蜜璃は、ギャップが魅力の一つですよね。普段の明るい一面もありつつ、その一方で戦闘シーンでは「みんな私が守るからね」と、勇ましく闘う。

そうですね! 蜜璃ちゃんのまっすぐさは、(竈門)炭治郎くんに近いのかもしれません。

花澤さんはアフレコ台本へのメモもすごく細かく書いていますよね。以前、テレビ番組で拝見して驚きました。たとえばセリフに「ふふん♫」と言葉にならない声を書き足したり、セリフの横に「♡」や「❁」など記号を足して、セリフのニュアンスまでメモしていました。

特にコロナ禍のときは、共演者の方と一緒に録ることが制限されていたので、掛け合いの部分で感情の動きがわかるように、細かく書いていました。中にはセリフの一部分をアドリブでやるパターンもあって、そのときはより丁寧に書き込みますね。その究極が『おでかけ子ザメ』(ペンギンボックス、KADOKAWA)です。私は子ザメの役を演じているんですが、この子のセリフは「★◯△」みたいな記号しかなくて。

原作漫画だけでなく、台本も?

そうなんです(笑)。オーディションのときから、「花澤さんなりの『子ザメちゃん語』で喋ってみてください」というオーダーで。でも、これは漫画を読んで自分でどうしてもやりたいと思った役だったから、「とにかく言葉を作ろう!」と、ちょっとした子ザメちゃん語の辞書を自作して臨みました。

それはすごい手間ひまですね......! しかし、言葉を持たない子ザメは究極の例ですが、そもそもどんな漫画のキャラクターも、読者の数だけ声のイメージがあるわけじゃないですか。アニメ化の場合は、そこに唯一の声をあてなきゃいけない。大変な仕事ですよね。

そうなんですよ〜! めっちゃ叩かれたりしますもん(笑)。

やっぱりそうなんですね。

「全然イメージと違うよ!」みたいな声をいただくことは、もちろんあります。「そんなこと言われても......!」って思うんですけど、でもやっぱね、みんなが想像してた通りになれたらいいなとも思うんですよね。

この漫画のキャラクターはこんな声だろうな、こんな声だったら説得力があるだろうなっていうのは、ご自身の感覚だけが頼りですか?

そうですね、自分なりに正しいと思った声を作ることはもちろん大事です。でも同時に、監督の指示をすぐに反映して変えられる柔軟さが一番重要だったりもして。そのためには自分の中に閉じこもらないで、いろんな現場で揉まれるしかないなって思ってます。

このキャラを演じてみたい!

声優のお仕事についてたくさん訊いてしまいましたが、改めて「少年ジャンプ+」はどんな存在ですか。

気軽にアクセスできて、とにかく便利ですよね。私、漫画は電子派なので、合間時間にも読める「ジャンプラ」はありがたいです。特に読切がいいんですよね。普通に生活してても、「この読切が面白かった」っていう情報がちょくちょく入ってくるんで、そのたびに読んでます。「読切ディスカバリー」にも出演された佐久間(宣行)さんのラジオ番組(『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』)のファンなんですが、佐久間さんがラジオやSNSでオススメしてる漫画は絶対に読みます!

佐久間さんも「勧めやすくて、ありがたいサービス」だとおっしゃっていました。

SNSだと親切にURLも付けてくださるので、そこから飛びまくってます(笑)。それと、読切は新しい作家さんに出会える楽しさもあって、めちゃくちゃいいですよね。でも、読切ってどこか切ない感じもあって。

切ない、ですか。

読切ってせっかくものすごい世界が立ち上がったのに、それがあっけなく終わってしまうじゃないですか。それが切ないというか、寂しいというか。せっかく好きなキャラが出てきたのに、もうこれっきりなんだって思うと、もったいないよ!って思いますし(笑)。

そこで今回は、花澤さんに「少年ジャンプ+」の読切作品から3作品を、オススメしていただきます。まずは『ほうしょうぶしゃくらいいこ』(安芸勘谷)です。

これは、滑舌の悪いことがコンプレックスな高校生・桜井りこちゃんが、放送部に入って成長していく話ですね。私、声優のお仕事をしているので、放送部や演劇部を舞台にした漫画を読むと、他人事じゃなくなるんですよね。もともと私も、自分の声が好きじゃなかったので。

コンプレックスがあった?

そうなんです。学生時代は、油断すると高く出ちゃうから、ぶりっ子してると思われてて。それでわざと低めに喋ってました。だから、滑舌に自信がなくてうまく話せない気持ちが少しわかるような気がするんです。でもやっぱりこの、りこちゃんがかわいいんだよなぁ。幼さが残ってる感じもいい。

コンプレックスゆえに人と喋ってこなかったから、ちょっとあどけなさが残っている感じもありますよね。

そうそう。劣等感を感じてしまって引っ込み思案になっている彼女に共感する人も、いっぱいいるんじゃないかな。あとね、この漫画は放送部の阿出川部長がいいんですよ! 部長がりこちゃんと初めて会ったとき、何気なく言う「かわいい声なのに」っていう言葉がもう......いいなぁ!としか言えない。私もこんなこと言われてみたいです(笑)。部長は絶対にコアなラジオオタクなので、私と話も合うと思うんですよ。

『ほうしょうぶしゃくらいいこ』(©安芸勘谷/集英社)

阿出川部長は、同時に3つのラジオ番組を聞くという描写がありますね(笑)。『ハライチのターン』『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)』『アフター6ジャンクション』『空気階段の踊り場』を聞いているラジオフリークです。

そうなの。だから身近にいたら絶対楽しい。高校時代にあった放送部も楽しそうだったんだよなぁ。私はそのとき生徒会だったので、 こういう青春をやる機会がなかなかなくて。

生徒会には、青春がないんですか。

私の生徒会はね、そんなことなかったです。ははははは(笑)。試練はあるんですよ。運動会の開会宣言があって、うまくできなくて落ち込むとか。でも、みんなで力を合わせて何かをすることはなかったんですよね。あっ! 私、このページが大好きなんですよ。

こんなふうに全速力で追っかけられてみたかったなぁ、ふふふ(笑)。でも、こうやって追いかけてもらえたのも、りこちゃんが一歩踏み出したからなんですよね。滑舌が悪くて、同級生と喋れなかったのに、放送部に入り前進する。「えいっ!」って一歩踏み出すことの大切さを教えてくれる作品なので、 勇気を出したい人に読んでほしいです。
あと、これは声優視点なんですが、りこちゃんを演じてみたいとも思いました。気づいたら、りこちゃんのセリフを声に出しながら読んでたくらい。

声優として桜井りこのどんな点に惹かれるんですか。

イメージで脳内再生した声を、実際に口に出してみたら、ちょっと思ってるのと違ったんです。ニュアンスを掴むのがすごく難しいからこそ、やってみたくなる。自分が演じるとしたらどうなるのかなぁってワクワクする作品でした。

二枚目半のヒーローに胸キュン

次に紹介してもらう『にげろダーリン』(ヤヅ)は、繊細かつ大胆な筆致が目を引く裏社会ものです。

これはもう、単純にダーリンがかっこよすぎる......!(笑)。漫画は常に「推しキャラを探す」という視点でも読んでて。その点、ダーリンはかなり推せます。

ダーリンが街中で出会った美少女に惚れ、彼女の正体がマフィアのボスだったと知るところから物語は始まります。ダーリンはたしかに色男ですが、描かれ方としては二枚目半ですね。

そう、それがいいんです! 私、『ONE PIECE』(尾田栄一郎、集英社)でいうと、サンジが大好きなんですよ〜。女好きで間抜けなところがあるんだけど、闘うと強くてキザで......みたいな。
ちゃんと隙があって、かっこいいだけじゃないキャラが好きなんです。だからダーリンは、サンジ推しに激しく勧めたい! それと、ダーリンが強すぎるから絶対に死なないってところで、安心感できるのもいいんですよね。

『にげろダーリン』(©ヤヅ/集英社)

推しのキャラが死ぬかもしれない、とハラハラしながら読むのはしんどいですか?

うん、「この人は大丈夫だろう」って思えないと、ページをめくるのが怖いです。その点、ダーリンは無敵だから安心ですね。あと、アクションの描き方も本当にかっこいいです。銃で撃たれた瞬間の構図もすごい。

ちなみに『にげろダーリン』は8月末から『Runaway Darling-にげろダーリン-』として連載がスタートしたんですよ。

えっ! これがそのまま?

ダーリンのキャラクターはそのままですが、登場する美少女の役割がちょっと違いますね。

そうなんですね、これは絶対読みます。いろんなダーリンの顔が見れたらいいですねぇ。ちょっとセクシーで、ちゃんとエロスが描かれた作品だと思うので、朝チュンのダーリンも見たいです(笑)。

少女漫画好きも唸るラブコメ

最後は『ジョンタイターの恋占い』(星間晶)ですね。

めちゃくちゃかわいくて衝撃でした! まず、この絵柄が大好きで、表紙のキャッチーさに惹かれました。「ジョンタイター」がまさかね、恋占いだとは......。

『ジョンタイターの恋占い』(©星間晶/集英社)

花澤さんがこの作品を挙げていて、まさに『STEINS;GATE』(5pb./Nitroplus、未来ガジェット研究所)を思い出しました。花澤さんが出演された「シュタゲ」でも、都市伝説として有名な未来から来た人物、ジョン・タイターがキーになっていましたね。

そうそう、それがゲームセンターの占いマシーンになってるのがおかしくて。でもこの漫画のジョンタイターは物語のきっかけでしかないんですけどね(笑)。

『ジョンタイターの恋占い』はラブコメですね。

私はやっぱりギャグが多めのラブコメが大好きなので、これはドンピシャでした。『SKET DANCE』(篠原健太、集英社)とか『ニセコイ』(古味直志、集英社)が好きなんですよ。最終的にラブになる場合は、そこに至るまでの紆余曲折がギャグ寄りであればあるほどいい。『ジョンタイター』はそんなラブコメの良さを凝縮した読切ですね。

秋尾蘭々香がゲームセンターにある「ジョンタイターの恋占い」をプレイしたら、学校の変人・天の川翼太郎と結ばれるという占い結果が出る......というところから物語が始まります。

その翼太郎くんが、ただの変な子じゃないのがいいんですよねぇ。亡くなったお母さんに近づくために、宇宙に行くんだって思う、そのピュアな心。その思いはヒロインの(秋尾)蘭々香ちゃんにも連鎖していく。そんな思いの連なりがすごく素敵でした。

この翼太郎というキャラクターはどうですか。

いやぁ〜、もちろん好きです!(笑)。いわゆるイケメンじゃなくて、何を考えているのか一見わかんない系の男の子も大好きなんですよ!! そういう男子と自分だけが仲が良いっていう設定にもグッと来ちゃいます。これはネタバレになっちゃうかもしれませんが、その翼太郎くんが途中で死んじゃうんですよね......。

あれにはびっくりしました。本当にあっけなく。

そうそう。この尺の短編で死んじゃうまでいくと、普通なら「うーん......?」ってなると思うんです。

推しキャラが死んでしまうことに悶絶する花澤さんですもんね。

そうそう(笑)。でも、この展開がすごくいい物語の波を生んでいますよね。読者として推しがいなくなった悲しみが癒やされる展開も終盤にあるので、私みたいに推しロスが耐えられない人も最後まで読んでほしいです。『ジョンタイターの恋占い』は、私みたいに少女漫画を読んできた人にとっても、入りやすい作品じゃないかな。

読切をたくさん映画化してほしい!

あらためて「少年ジャンプ+」はいかがでしょうか。

ジャンルの豊富さがすごいですよね。いわゆる王道の「友情・努力・勝利」なジャンプらしい作品もありますけど、青年漫画や少女漫画っぽい作品もたくさんあって。「ジャンプってこうだよね」という概念からはみ出した作品がいっぱいあるから、いろんな人にマッチする。手軽にアクセスできて、漫画をより身近に感じられるサービスだなぁって思います。

先日オープンしたこの「読切ディスカバリー」はどうでしょう。

すごいです! アーカイブが膨大なので、みなさんが紹介している作品も全然違う。自分だったら選べないような漫画に出会えるので、いくらでも楽しめそうです。この「年代別 ジャンプラ読切ランキング」もいいですよね。ランキングを見るのが好きなのでありがたいです。

たっぷり話していただきありがとうございました!最後に10周年を迎えた「少年ジャンプ+」になにか期待することがあれば教えてください。

そりゃあもう、いっぱいアニメ化してほしいです! やっぱ映画がいいですよねぇ。読切でいえば、『ルックバック』(藤本タツキ)のようにグッと力を入れて作った中編作品をいっぱいやってほしいです。読切の映画化、たくさんやってほしいなぁ。

取材・文:安里和哲 撮影:持田薫
編集:野路学(株式会社ツドイ)

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